NEW POST

【生誕300年記念】豪華!伊藤若冲2本立て@秋の京都で若冲まみれに

b0336361_18574903.jpg
京都市美術館【生誕300年 若冲の京都、KYOTOの若冲】


今年生誕300年を迎える伊藤若冲。
伊藤若冲は、18世紀後半、江戸時代の京都にその才能が花開いた絵師です。
アニバーサリーイヤーの秋、京都に里帰りし、関連展覧会2展を鑑賞。

相国寺承天閣美術館(京都市)で開催された【生誕300年記念 伊藤若冲展】と、
京都市美術館で開催された【生誕300年 若冲の京都、KYOTOの若冲】の2つです。
(いずれも2016年12月4日まで開催)


くれはるレビュー(その1)「動植綵絵」のふるさと、相国寺承天閣美術館でまずは三十幅を。

b0336361_18512222.jpg
相国寺承天閣美術館

40代の若冲が描いた代表作「動植綵絵」。
相国寺承天閣美術館で、原寸大、精緻な複製品(コロタイプ印刷)が一度に三十幅展示されるということで、いつか本物を見る時までのイントロダクションとして鑑賞しました。

1770年、相国寺の大典和尚と交流のあった若冲が両親の永代供養として奉納したこの作品群は、その後明治天皇に献上され、その下賜金はその後廃仏毀釈で窮地に陥った相国寺を大いに救ったと言います。
というわけで「動植綵絵」のふるさとはここ、相国寺です。ここ大事。
(現在、作品は宮内庁三の丸尚蔵館所蔵)

全三十幅。長年図録でしか見たことのなかった生き物の世界が、複製品とはいえ実物サイズで圧倒的な量感を伴って迫ってきます。
ひしめき合う雄鶏たち、水辺の生き物、伝説の鳥である鳳凰、小さな虫に花鳥様々。

今回はまず、この「大きさ」の重要性を体感。大事です、大きさ。
重要なものは本物を、そして原寸をしっかりと受け止めたいもの。

*「動植綵絵」

今春、東京で一ヶ月だけ開催された「生誕300年記念若冲展」。
「入場4時間待ち」と伝えられたニュースも記憶に新しいのではないでしょうか。
実物の「動植綵絵」はここで展示されていました。実物が見られる機会は非常に稀です。
最近で言えば2007年、2009年、2016年春と、公開されるのはわずか数年に一度レベル。
展示されたらされたで、数時間待ちとなる大混雑。で2016年東京では4時間待ちという新記録が生まれました。

私はこの春、東京での鑑賞を諦めました・・・
大好きな若冲を(大好きだからこそ)まるでお祭りのような環境で見ることが、どうにもいたたまれなかったからです。

近年、若冲はたくさんの方に愛されるようになりました。
人気の絵師です。混雑も当然のこと。

できるだけ静かに落ち着いた環境で見たいので、私は地方で若冲の展示があると、全国に足を運びます。
東京よりは落ち着いて見られることが多いです。比較的。

ああ、どうか生きている間に「動植綵絵」を全幅、それも必ずや京都で(そしてできるだけ静かな環境で)見られますようにと祈りを続ける日々。



くれはるレビュー(その2)「葡萄小禽図床貼付」ホンモノを床の間丸ごとで見る!重要文化財。


「葡萄小禽図床貼付」。
図録で写真だけを見ていて、いつか実物を見たかったもの。
鹿苑寺(金閣寺)の大書院一之間に描かれた障壁画(重要文化財)です。
展示は図だけじゃないよ。鹿苑寺から床の間ごと、承天閣美術館に移設されていて、
作品全体の世界を実物で立体的に見ることができます。
つまり若冲が空間に対し、どう表現したかったのか、それもひっくるめて見ることができてしまう。
これはすごいこと。
なんでこんな豪華なことができるかというと、そこは相国寺と鹿苑寺(金閣寺)のカンケイです。

相国寺は臨済宗相国寺派の大本山。一般に有名な金閣寺(鹿苑寺)や銀閣寺(慈照寺)は、実は相国寺の敷地外にある子院(山外塔頭と呼ばれる)なのです。親子、ですね。
あまり知られていませんが、金閣寺・銀閣寺の親は相国寺。

床の間複数の壁面にわたって、墨で描かれた葡萄の蔓が柔らかく這っています。しばし床に座り込んで眺めてしまう。
「動植綵絵」のような極彩色の世界、「葡萄小禽図床貼付」の静かな墨色の世界。
いずれも40代の若冲が描いているという事実に改めて驚きながら、天才画家の持つ深い世界観の一端を見るようです。

「葡萄小禽図床貼付」はこちらから>





くれはるレビュー(3)有名作のオンパレード。京都市美術館/「雪中雄鶏図」他で若冲ジャンキーに。


一方、神宮道に場を移して、、、。京都市美術館での展覧会は盛りだくさん。
同じ構図の「鯉図」だけでも複数の軸が展示されるという、いかにも京都ならではの贅沢。
これだけ一堂に会すると、若冲酔い、若冲ジャンキー。
ちょっとしたトランス状態になってきますね。
心地よい酔い、です。

期間中、京都市美術館では幾つかの展示入れ替えが予定されており、若冲鑑賞の山場が
上手に設定されています。

「雪中雄鶏図」(細見美術館蔵・10/4〜11/6)
「果蔬涅槃図」(京都国立博物館蔵・11/15〜12/4)
「百犬図」(個人蔵・11/15〜12/4)
「樹花鳥獣図屏風」(静岡県立美術館蔵・11/12〜12/4)
「象鯨図屏風」(MIHO MUSEUM・11/8〜11/20)

全てよく知られた名作ばかり。どれも間違いない傑作ですが、
個人的には、まだ世に出て数年の「象鯨図屏風」に出会ってみるのがお勧めです。
(展示は11/8〜11/20のみ)

「象鯨図屏風」は江戸時代、寛政7年/1795年、若冲80歳の時に描かれたもの。
この絵は長く北陸の旧家の蔵に眠っており、何と2008年夏(!)にその存在が明らかになりました。
紙と墨で描かれた屏風。
それがよくまあ、2008年まで損なわれることなく、外に出ることもなく、
無事に保存されていたものです。

2009年のお披露目当時、MIHO MUSEUM(滋賀県)に駆けつけました。
作品と初対面の瞬間、背中が総毛立ったのを思い出します。

その来歴や作品の持つ運命を思う時、どこか人智を超えた神々しい力を感じて胸がいっぱいになりました。
象と鯨がお互いに交歓しあう、おおらかでゆったりとした幸せな眺めがそこにある。
江戸時代の日本で、これら大きな動物をどうやって?
不思議な気持ちになる構図の六曲一双の屏風絵です。

鯨図はこちら
象図はこちら

【悲願】いつかできるならば

長年の願望。
私はできればいつか、相国寺で「動植綵絵」全幅を見たい。
「動植綵絵」は、もともと若冲の意思によりこの相国寺に奉納されたものですから。

そして、、、誤解を恐れずに言うのであれば、
若冲の絵はやはりここ、京都で見るのが最も幸せな形のように思います。
絵が京都の空気の中にに置かれることを全身で喜んでいる。
この地の空気の中で草案されたもの。ここの水で描かれたもの。ふさわしい場所。

ところで、イタリアが生んだ天才レオナルド・ダ・ビンチの名作「モナ・リザ」。
現在、作品はフランス・ルーブル美術館に収蔵されているわけですが、
イタリア人は「ラ・ジョコンダ(モナ・リザののイタリア名)は俺たちのものだ」と言います。

それ、、、、(京都人の端くれとして)私、ちょっとわかる。
おこがましい!
でも、わかる。。

若冲の世界的コレクターであるアメリカ人、ジョー・D・プライスさん。
(ずっと大事に絵を守ってくれたことに最大のリスペクトを込めつつ)
コレクションをいつか京都にお里帰りさせてくれないかな。

伊藤若冲。そして京都。
この街と文化があってこそ、これらの作品は生まれてきたたのでしょう。
この全てが儚い素材でできた芸術品を、200年以上の時を経て、
私たちが実際に見られることの素晴らしさ。

奇跡そのものの輝きに満ちています。




b0336361_18524155.jpg
相国寺


*「動植綵絵」は過去2007年に一度、相国寺で120年ぶりに公開されています。
*ジョー・D・プライスさんは「東北復興支援」のために開催された2013年展覧会に、
自らのコレクションを大々的に貸し出してくれたのでした。(開催地:仙台、盛岡、福島)

【生誕300年記念 伊藤若冲展】
2016年7月1日〜12月4日
相国寺承天閣美術館(京都市)
公式サイト

*釈迦三尊像3幅
*動植綵絵30幅(展示はコロタイプ印刷による複製品)
群魚図(蛸)、菊花流水図、池辺群虫図、群鶏図、薔薇小禽図、芦鵞図、老松鸚鵡図、紫陽花双鶏図、
雪中鴛鴦図、老松白鶏図、蓮池遊魚図、南天雄鶏図、梅花皓月図、芍薬群蝶図、老松孔雀図、老松白鳳図、
牡丹小禽図、梅花小禽図、向日葵雄鶏図、秋塘群雀図、棕櫚雄鶏図、雪中錦鶏図、芙蓉双鶏図、梅花群鶏図、
芦雁図、桃花小禽図、大鶏雌雄図、貝甲図、紅葉小禽図、群魚図(鯛)

*鹿苑寺(金閣寺)大書院に描いた障壁画50面(重要文化財)全て。
葡萄小禽図床貼付、月夜芭蕉図床貼付、
竹図襖絵(四面)、芭蕉八咫烏図襖絵(八面)、葡萄小禽図襖絵(四面)、松鶏図襖絵(八面)、菊鶏図襖絵(六面)、秋海棠図襖絵(六面)、双鶏図貼付

*コロタイプ印刷とは?

ゼラチン水溶液に重クロム酸塩を加えた感光液をガラス板に塗布・乾燥させ、これに撮影されたネガフィルムを密着し紫外線を当てる。これによってできる細かい〝しわ〟にインクを付着させ印刷する。多色印刷は、幾度も撮影を繰り返し、各色の製版を作り、重ね刷りをする。複雑な手間と高度な技術により、本物と見紛うほど精緻に復元される。現在では、世界的に希少な技術となっている。(承天閣美術館目録より)



【生誕300年 若冲の京都、KYOTOの若冲】
2016年10月4日〜12月4日
京都市美術館
期間中、展示入れ替えあり。
「雪中雄鶏図」(細見美術館蔵・10/4〜11/6)
「果蔬涅槃図」(京都国立博物館蔵・11/15〜12/4)
「百犬図」(個人蔵・11/15〜12/4)
「樹花鳥獣図屏風」(静岡県立美術館蔵・11/12〜12/4)
「象鯨図屏風」(MIHO MUSEUM・11/8〜11/20)

公開作品リスト



【参考メモ】

*訪問は2016/11/3、午前10時すぎにに相国寺承天閣美術館、午後1時すぎに京都市美術館を訪れました。館内の混雑はありましたが、両会場とも「入場制限」等はありませんでした。
早起きすれば、2館を1日で回れます。若冲づくしの1日を過ごせます。

会期は12/4まで!


by kureharu | 2016-11-05 18:15 | レビュー(観る・聴く・訪れる) | Comments(0)

もっとすこやかに、さらにごきげんに!


by くれはる
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31