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「しっかりお直しいたします」〜アドラーの「他者貢献」を靴から学ぶ

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お気に入りの靴のリペア屋さんがあります。
仕事帰りの人たちが表通りを行き交う時間、きらきら温かい光で包まれるウィンドウ。
渋谷でも新宿でもなく日本橋。
ちょっと落ち着いた大人の町に、その店はある。
中に入ると、工具のまわる静かなモーターの音と、ふわんと香るワックスとクリームの香り。
白いシャツと黒いエプロンできびきび働く職人さん。
「いらっしゃいませ」という声が聞こえてきます。

メンズ仕立てのマニッシュな靴。好んで履くようになって、何年になるでしょうか。
見た目だけを真似た「なんちゃってメンズ風味のレディース靴」でなく、
男性靴と同じ方法で仕立てられた、クラシックな靴が好き。
とりわけ秋冬は、ソールにちゃんと重さの感じられる、
そう、歩くと「いい音」のする、風情の好い靴を履きたい。
そんな思いにかられるようになり、靴の手入れや修理にも興味がわくようになりました。

そのリペア屋さんは、最初はネットで見つけたのだった。
靴箱を抱きかかえ、せっせと通うようになって3年。

新しい皮底の靴を手に入れる。わたしは履く前に、最初にここへ持ってくる。
どう手入れするのがいいか、どんなクリームを選ぶか。ヒールやソールをどうするか。
すべて相談します。
フィットするシューツリー。まるで洋菓子のような名前の
ヨーロッパのクリームたち。ブラシにはいくつも種類があること。
もちろんエキナカの修理屋さんみたいに、クイックリペアだってできるけど、
ここではむしろ、リペアはすこうし履いてから、
よければもう一度来て下さいね、そう丁重に言われることもよくある。

靴が自分の足になじんだあとの方が、ソールはよりよくフィットするから。

はい、何度でも通います。めんどくさくなんかないのです。
職人さんたちとお話するのが、私は何よりも楽しくなった。
修理屋さんであって、修理屋さんではない。
ケーキの入った箱のように、靴箱を大事に抱いてかえります。

しっかりしたいい作りの靴をお選びですね…。どちらのものですか?
うん、この革はエイジングでどんどんいい感じになりますよ。
ぜひ大事に履いて下さいね。
なあんて!
私の選んだ靴をなでながら、しみじみ言われてしまったら。
もうもう…!
イチローにフォームを褒められた、野球少年の気分です。
O型は褒められて伸びるタイプですからね。
大リーグ目指す、海だって渡る。いや、その前に甲子園いけって話ですけど。

先日、4年ほど履いた秋冬のショートブーツを持って行きました。
減ったヒールを直して、一度綺麗に磨いてもらって今シーズンもまた履こうと思いました。
そこで、左のソールが劣化して中で割れかけていることを指摘してもらった。

どう劣化しているか、どんな修理の選択肢があるか、リスクはなにか、費用はどれくらいか。
職人さんは、こちらの疑問をすべて解決してくれます。

正直…少し戸惑った。
確かにとても気に入っているブーツ。4年履きました。
ツートーンの革は、とても柔らかくもなり、
最初とは違う飴色の艶にもなった。
ただ、ソール全体の交換(オールソール)をすると、それなりに費用もかかる。
買ったときの値段の、そう、片足分くらいにね。

大事に履いた靴です。
さよならするの?

ラバーソールに取り替えて直すようなことはいたしません。
いまとちゃんと、同じテイストにお直しいたします。
職人さんは、最後にそう言ってくれた。

「お任せしていいですか?」

そう答えていました。

結局は人…。

「承知しました」

控えめだけれど、深い自信と確信に満ちたその笑顔。
よい選択をしたのだと思った。
アドラーの言う「他者貢献」って、まさにこういうことなんじゃないか。
実感とともに、そう思った。

お会計を済ませた帰り際
「よろしくお願いします」と言った私に
その人はいいました。

「はい、しっかりお直しいたします」

その声、ぽーんと響いて、ここに深く沈んでいったよ。

もう一度生まれ変わる靴。
いや、それだけではない。
私の靴は、一生続く美しい物語をもらったのだと思う。

私はこの靴と、どこまで歩いていけるのだろう。

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Commented by Yoku1210 at 2014-10-04 16:17
kureharuさん
mi piace! mi piace!
Commented by kureharu at 2014-10-05 11:19
Yoku さん
Grazie ! Sono contenta.
Ti penso sempre.(笑)
Un bacio!
by kureharu | 2014-10-03 21:00 | すきなもの | Comments(2)

もっとすこやかに、さらにごきげんに!


by くれはる
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